知っておきたい働くルール
新しい職場で働き始めるとき、多くの人は「仕事を覚えること」に集中するのではないでしょうか。
もちろん、それも大切なことですが、同じくらい重要なのが「働くルール」を理解しておくことです。
法律で守られている基本的な権利や義務を知っているかどうかで、働きやすさや安心感は大きく変わります。
そこで今回は「転職する(した)人が押さえておきたい7つのルール」をご紹介します。
1. 労働時間と残業のルール
労働基準法では、会社は従業員を1日8時間・週40時間を超えて働かせてはいけないと定められています。
これを超えた労働は「時間外労働(いわゆる残業)」に該当し、会社は労働者代表と「36協定」を結ばなければなりません。
さらに、残業には割増賃金を支払う義務があり、通常では25%以上、深夜や休日の残業ではさらに高い割増率が適用されます。
残業が多い職場の場合、このルールが守られているかしっかり確認しておくと安心です。
[36協定とは]
会社が従業員に対し、残業や休日労働を行ってもらうために必要な労使の取り決めです。
[労使(ろうし)とは]
- 労=労働者(働く人、従業員)
- 使=使用者(雇う側、会社や経営者) をまとめて表現した言葉を指します。
2. 休憩と休日の確保
労働時間が6時間を超える場合:45分
8時間を超える場合:1時間以上
これらの休憩を与える必要があります。
また、休日は「週1日」または「4週間で4日」が最低基準です。
これらを下回る働き方は法律違反にあたります。
転職後に「休みが少ない」と感じたら、まずは勤務体系が法律に沿っているか確認してみましょう。
3. 有給休暇のルール
入社から6ヶ月経過し、出勤率が8割を超えていれば、年次有給休暇が付与されます。
日数は10日から始まり、勤続年数に応じて最大20日まで増えていきます。
有給休暇は労働者の権利です。会社が一方的に「使わせない」と制限することはできません。
4. 給与の支払い
給与は毎月1回以上、一定の日に支払うことが法律で定められています。
原則は現金払いですが、労働者の同意があれば銀行振込も可能です。現在はほとんどの企業が銀行振込を採用しています。
また、遅刻や欠勤があっても、根拠なく給与を差し引かれることはありません。
就業規則や雇用契約書に基づかない控除は違法となります。明細をしっかりと確認する習慣をつけましょう。
5. 雇用契約と就業規則
入社時に必ず確認しておきたいのが「雇用契約書」です。
- 勤務時間
- 給与
- 勤務地
- 休日
これらの条件がしっかり記載されているかどうかは、後々のトラブル防止につながります。
また、従業員が10名以上いる職場では「就業規則」があり、勤務する上での細かなルールが定められています。
わからないことは遠慮せず人事担当者に確認しておくと安心です。
6. 退職時のルール
転職を繰り返す可能性もよくある昨今、退職のルールも知っておくと役立ちます。
民法上では「2週間前に退職の意思を申し出れば退職可能」とされています。
しかし、実際の現場では「1ヶ月前」や「3ヶ月前」など、会社によって規定が存在することが多いです。
スムーズな引き継ぎや人間関係を考えると、できるだけ余裕を持って伝えることが望ましいといえます。
7. ハラスメント防止
職場でのパワハラ・セクハラ・マタハラなどのハラスメントは法律でも防止が義務付けられています。
もし、被害を受けたと感じた場合、社内の相談窓口や労働局に相談可能です。
ハラスメントは泣き寝入りせず、制度を活用する姿勢も大切です。
まとめ —
転職先で安心して働くためには、仕事のスキルだけではなく「働くルール」を知っておくことが重要です。
労働時間、有給休暇、給与、退職などの基本を理解しておくだけでもトラブルを回避しやすくなります。
知らないまま我慢するのではなく、法律に則った知識を持って、自分らしく働けるよう環境を整えていきましょう。